江戸の黒豹党

孤独なお爺ちゃんの寂しい日常を覚え書き程度に綴る

クリス・ロックの動物コメディ映画『魔女がいっぱい』

劇場映画『魔女がいっぱい』雑感

今年はコロナ過の影響で合衆国内の映画館は閉鎖気味。日本の映画館は非常事態宣言明けの6月に復帰したものの、特にハリウッド製の新作洋画タイトルが慢性的に不足していて、今日TOHO日本橋で観てきた『魔女がいっぱい』もなんだか久々に劇場で洋画の新作タイトルを観た気分。拙者が最近劇場で観たのは、日本のアニメ『魔女見習いをさがして』2回で、その前が『トロールズ ミュージック★パワー』『アダムスファミリー』と、一応洋画だけどやっぱりアニメで、さらにその前は9月に観た『テネット』なので、コロナ過の今年は劇場で映画を観る頻度自体も減り、洋画であってもアニメ作品だったりして厳密に言えば実写の洋画新作は『テネット』以来なので久々に感じたのも無理はない。

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魔女がいっぱい

さて、『魔女がいっぱい』の原題は『Roald Dahl's The Witches<ロアルド・ダール’ズ ザ・ウィッチズ>』で、日本版のキャッチコピー「チャーリーとチョコレート工場』原作者が贈る」とあるように、映画の原作となった児童書『チョコレート工場の秘密』(1964年)と同様に作家ロアルド・ダールによる児童書「魔女がいっぱい」(1983年)が原作。1990年にも『ジム・ヘンソンのウィッチズ(字幕版)』『大魔女をやっつけろ!(吹替版)』として一度目の実写映画化がされていたようだ。個人的に90年代はストリート・ギャングスタ系のブラックスプロイテーション映画にハマっていたので1990年映画版『ウィッチズ』は全然存じなかったでござるから、是も日本版ビデオソフトなりを探してそのうち観るでござる(ちなみに拙者は2005年版『チャーリーとチョコレート工場』よりも1971年版『夢のチョコレート工場』のほうが好きでござる)。

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大魔女をやっつけろ!

特に女の子向けの児童書や絵本には魔女がよく出てくるが、今作の魔女はホウキに乗って空を飛ぶ系の生易しい魔女ではなく、正体の容姿が恐ろしい怪物な魔女というチョイファンタジーホラー。個人的に嬉しかったのは、主人公の少年とお祖母ちゃんが黒人で、基本的な生活様式が60年代黒人家庭像だったので序盤の挿入歌にオーティス・レディングの「(Sittin' On) The Dock of the Bay」 やフォートップスの「Reach Out I'll Be There」が流れたり、それにテレビでアイズレー・ブラザーズの「It's Your Thing」の映像が流れたりして、ブラックミュージック好きにはちょっとしたご褒美。何より、冒頭から語り掛ける謎の人物のナレーション声明らかにクリス・ロック(SNL系コメディアンにして有名な黒人俳優)だったので、ブラックムービー好きにとってはお馴染みなオチャラケ声を聞いた途端「この映画、絶対コメディだよね」と、観て早々に面白映画だと期待できた。この時点でブラックムービー好きな方にオススメ。原作の児童書でも黒人なのかは知らんけど。

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お祖母ちゃんと孫の心温まるお話

個人的に大魔女役のアン・ハサウエイにはあまり興味がなく、むしろお祖母ちゃん役の黒人女優オクタビア・スペンサーのほうが馴染みあるので、ストーリー中でおばあちゃんが病気がちなのでいつ死ぬのかずっと心配してしまったほど。今作は児童文学が原作で、今回の実写映画化もメインターゲットはチビッコだと思うので、魔法などのファンタジー要素のCG演出がちょっと安っぽかったりするのはご愛敬で笑って許せるレベル。むしろ、主人公のチビッコらがチュウチュウ🐁になって行動する展開が主だっており、近年のピーターラビットパディントンなどのように動物CGキャラの質感や演出は良かったので、人間語を喋るかわいい動物キャラの映画が好きな方にもおススメできる。チュウチュウ🐁たちのアクションシーンは劇場の大スクリーンで観たほうが迫力あるカメラワーク演出でなかなかスリルがあり楽しめた(一生懸命な🐁を応援する純粋なチビッコの心境で)。事前情報なしでアン・ハサウェイ主演のオサレ映画かと思ったら、実際はクリス・ロックのストーリーテーラーによる動物コメディ映画だったでござる。

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例によって太っちょキャラがいい味出してます。

2005年公開のティム・バートン監督版『チャーリーとチョコレート工場は、児童書原作ながらも当時テレビ放映やレンタル市場も含めて若い世代の一般層に人気があり、日本での興行収益は 53.5億円と、まずまずの成績だったらしい。今回の『魔女といっぱい』は、個人的に黒人映画動物映画児童書原作という好きなジャンルポイントがあったので素直に面白く楽しめ、派手さは無いものの満足のいく無難な作品であったものの、2005年版『チャーリーとチョコレート工場』のような派手なデキを期待して観ると、ちょっと物足りなかったり、期待外れに思われるかもしれない。そもそもチビッコ向けなのでチビッコが見るべきだと思うし、大人だったらある程度の知識のある映画マニアのほうが楽しめるかも。と、ちょっと観る人を選ぶ作品だと思われ。とはいえ、ストーリー自体は難しいことなく、何も考えず気楽に楽しめるので、ソフト化や配信されたら家の大画面テレビで家族団らんで観る家庭用ファミリー向け大正解かもね。そもそも本国ではコロナ過の影響で劇場公開されず配信オンリーのビデオスルー映画になってしまったらしい。おわり

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HBO Maxオリジナル配信映画

黒人映画度      :☆☆☆☆★
60年代ソウル度 :☆☆☆☆★
動物映画度   :☆☆☆☆★
チビッコ向け度 :☆☆☆☆☆
ホラー度    :☆☆☆★★
ファンタジー度 :☆☆★★★
クリス・ロック度:☆☆☆☆★