江戸の黒豹党

孤独なお爺ちゃんの寂しい日常を覚え書き程度に綴る

浅草くいだおれ日記③【新カステラ 浅草店】

浅草六区にあるドン・キホーテ浅草店の脇にあった「カレーは飲み物。浅草店」がコロナ過の影響かいつの間にかひっそりと閉店し、その跡地に入った新しいお店「新カステラ 浅草店」本日オープン。どうやら、すでに本店高円寺2017年オープンしており、行列のできるほど人気のお店だとか。拙者も甘味が好きなので早速行ってきたでござるよ。

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カレーは飲み物。浅草店跡地

お店の外には木々や猫ちゃんキャラクターイラスト看板が設置され、映えスポット的なかわいい雰囲気を演出。基本的にお持ち帰り専門店で店内には飲食スペースはないもののお店の外には備え付けのベンチがあるので、買ってすぐに食べられるみたい。あと、週末に開かれる六区ブロードウェイ商店街オープンカフェでも食べていいと思うでござる。

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ネコちゃんのいる可愛いお店外観

そもそも「新カステラ」とは、台湾の淡水地域の名物である大型カステラを日本向けに独自研究・改良し、イーストやソーダなどの化学添加物を使用することなく独自製法でしっとり・ふっくら・もっちりした焼き上げを実現。また、熟成されたホイップ生クリームも新カステラのオリジナルだそうでござる。

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店内ショーケース

基本メニューは「プレーンカステラ」「生クリーム入りプレーンカステラ」で、2~3人向けのフルサイズ、1~2人向けのハーフサイズ、ひと口サイズにカットされ食べ歩き向けのカップ入りといった3タイプをそれぞれに用意。毎月変わる月限定フレーバーのカステラやトッピング用の生クリーム単体も販売しており、この12月の月限定カステラは「いちごカステラ」で、ほかにもスイーツライター「はなとも」氏とのコラボによるオープン記念コラボメニュー「ブリュレカステラ」12月18日~20日の三日間限定で販売

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新カステラのメニュー

とりあえず拙者は今回いちごカステラのハーフサイズを食してみたでござる。ホントにしっとりとしながらも驚くほどふわふわな食感で、甘さを抑えた優しい味でペロリとイケたでござる。ちなみにいちごカステラの生クリームもちゃんといちごの生クリーム。大人向けの甘さで、なかなかの美味でござった。

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月限定いちごカステラ(ハーフサイズ)

お店の外にいる謎のネコちゃんキャラクターも気になるけど、カステラの容器に貼ってあるネコちゃんシールをきれいに剥がせば好きなものに貼って楽しめるでござる。いかにも台湾テイストなキャラデザだけど、かわいいもの好きにとってちょっと嬉しいかも。近年の浅草界隈には、タピオカドリンクやケバブなど舶来から来た食の新風がいろいろ舞い込んでいるけど、ブームが去ったら消え去る感も否めない。今回の新カステラも浅草オリジナルでないのが残念だけど、高円寺での実績もあってなかなか期待できる新店。とりあえず、価格帯もお手頃なので今度またリピートするでござる。女性向けだし、週末には混みそうだけどー。おわり

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ネコちゃんキャラクターのシール

【お店情報】

新カステラ 浅草店

住所:東京都台東区浅草2-10 ドン・キホーテ浅草店1F

営業時間:11時~20時 定休日なし

公式HP:新カステラ│日本初の台湾カステラ(since2017)

浅草を斬る。その⑦【歳の市ほか】

今日(12月17日)から三日間、一年を締めくくる観音様の縁日「納めの観音」である「歳の市(羽子板市)」浅草寺境内で開催。今年はコロナ禍の影響で例年の2/3規模に縮小してでの開催だそうで、中にはアマビエをモチーフにした羽子板ダルマなんかもありました。f:id:usaponthe3rd:20201217210158j:plain

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六区界隈では、ドン・キホーテ浅草店脇に今月中旬18日オープン予定の台湾カステラ屋さんの開店準備が着々と進んでいました。引きの写真では分かりづらいですが、お店の周りにネコのキャラクターのイラスト看板などが設置されていて、なかなか可愛い雰囲気の装飾で女性受けしそうなお店ですね。お店の名前は「新カステラ」というのでしょうか? 告知看板には「新カステラ 日本初 台湾カステラ SINCE2017 12月18日OPEN」と書いてあり、別の看板には「世界初デザインカステラ」ともあって、ちょっと気になりますね。

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ドムドムバーガー浅草花やしきの店頭には、2021年1月1日販売の福袋の告知が張られていました。3千円分のお食事割引券のほか、DOMDOMロゴ/どむぞうくんマーク入りのマグカップ蒸れないオリジナルマスクオリジナルタオルハンカチ、それとドムドム×BEAMSコラボアパレルが当たるかもしれない開運くじが入って税込み3千円らしいです。お得だけど、お食事割引券(3月末までの使用期限付き)というのがちょっと引っ掛かります。むしろドムドムグッズ単体で販売して欲しいです。ていうか、元日にお店開けるんですね。

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 あと、サンリオGiftGate浅草店では、この時期恒例のバーゲンセールを2階で開催していました。浅草店限定商品である雷門Tシャツ(白・黒)雷門トートバッグ(ダニエル・ばつ丸)キテイちゃんさんのぬいぐるみ(L・M・Sサイズ)、キテイちゃんさんのマスコットが太っ腹の50パーセントOFFで、ほかにも主要キャラのキャラクターファンやボストンバッグ風チャームなんかもありました。

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サンリオ浅草店限定トートやTシャツ

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キャラクターファンやボストン風チャーム

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サンリオ浅草限定キテイちゃんさんぬいぐるみ

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サンリオ浅草限定キテイちゃんさんぬいぐるみ

浅草の夜は今日も人が少ない感じでした。いつも通り常連客で賑わう居酒屋がある一方、ピーク時でも空いててガラガラのお店もよく見かけます。浅草界隈の飲食店も年末年始に向けて書き入れ時のはずが、よく見たら早い時間のテイクアウト利用のほうが多い感じもしました。外食産業における食材需要が下がった恩恵で、スーパーでは白菜やキャベツ、肉類などが例年より安くなっています。浅草ROX地下の西友で白菜1/4カット68円だったので拙宅も今夜は鍋物です(どうでもいい情報)。おわり

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きれいになった奥山おまいりまち商店街アーチ

 

ニヤニヤしながらアイスキューブを愛でる映画『ネクスト・ドリーム』

【劇場映画『ネクスト・ドリーム ふたりで叶える夢』雑感】

観ようかどうしようか迷ったけど、トレーラー映像を観たらアイスキューブ兄さんがチラッと出てたのでそれだけネクスト・ドリーム ふたりで叶える夢』(原題:The High Note)を観てきたでござる。ラッパーとしてのアイスキューブはN.W.A.時代から聴き存じてるでござるが、『ボーイズン・ザ・フッド』以降むしろ俳優としてのアイスキューブのほうが好きでござる。そういえば映画出演は2017年の教師コメディ映画『FIST FIGHT』以来でござるね(日本未公開なうえビデオスルーもされないので北米版BDで観た)。

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一応コメディ映画なのでICE CUBE見てニヤニヤする

例によって直球すぎる邦題タイトルがダサすぎて、「どうせ歌物のサクセスストーリーでツマんないだろうな。とりあえず保険でアイスキューブ出てるからイイヤ」ぐらいの軽い気持ちで観に行ったら、ベテランの悩みを若者が解くという案の定わりと単調なプロットだったけど、主人公の白人女子が往年の全米ヒットチャート曲にやたら詳しい音楽オタクで、特にアレサ・フランクリンなどR&B系の楽曲が好きらしく、なぜか憧れのベテラン黒人女性歌手の付き人をしているという不思議な設定がなかなか興味深かく、付き人のお仕事としてショウビズ業界の裏側を皮肉って見せるような演出もそこそこ面白かった。

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ベテラン歌姫のわがままに付き合わされる付き人

ベテラン歌姫「グレース・デイヴィス」は架空の人物だけど、演じるトレイシー・エリス・ロスはあのソウルミュージック界の大御所ダイアナ・ロスの実娘で、ご本人は歌手ではなく俳優が本業。それにしてもトレイシーさん、これまで日本ではあまり知られていないのでは?と思ってググったら、本国アメリカではコメディ系テレビドラマの出演やテレビショーの司会がほとんどで、映画の出演は今作で10作目と少なく、今回のグレース・デイヴィス役で初めて歌唱にも挑戦したらしい。偉大な母親ダイアナ・ロス的なベテラン歌姫の役を、歌手でもないトレイシーさんが演じること自体コメディだという点が今作の見どころ。むしろダイアナ・ロス本人役ではなく実在しない歌姫の役を演じるフィクション作品だからこそ実現できた、トレイシーさんにとって女優人生のいたずら的な映画かと。

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ダイアナ・ロスのようなグレース・デイヴィス

主人公「マギー」役の白人女優ダコタ・ジョンソンも拙者的にあまり馴染みないのでググったら、なんと俳優ドン・ジョンソンと女優メラニー・グリフィスとのお子さんだそうで、義父として俳優アントニオ・バンデラスにも繋がるとか。親七光スゴイじゃないの。なるほど、それでお母様チョイ役出演していたのでござるね。あと、エンドロール見てから気づいたけど、マギーのお父さん役の俳優ってビル・プルマンだったのね。その昔スペースボール』でローンスター役だった人でござるよ(古い)。

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ドン・ジョンソンの娘と知ってビビった

在り来たり気味なストーリー展開はともかく、全体的にR&Bを主体とした音楽演出と、アイスキューブの出番がわりと多く相変わらずいい味出していたのと、WAVES』でタイラー役を演じた黒人俳優ケルヴィン・ハリソン・Jrが若手R&Bシンガー「デビッド・クリフ」役として出ていたので、全体的にわりとブラックムービー寄りで拙者的に大満足。観に行った日はちょっと嫌なことがあって気分を害していたけど、そんなことを忘れさせてくれたほど愉快で後味も快い映画だったでござるよ。セリフ中に、サム・クックやカーディB、アリアナ・グランデなど実在の著名アーティスト名(※him/her self 出演はない)がちょくちょく出てくるし、洋楽が好き特にR&B系のブラックミュージックが好きなら音楽的な演出や細かい点まで存分に愉しめて、基本的にコメディ映画なので軽い気持ちで笑いながら観るのが吉。拙者はキャピトルレコードのビルが出るたびに笑ってしまったでござる。あと、この映画もコロナ過の影響で本国アメリカでは劇場未公開のネット配信リリースになったらしい。今年はそういうのだけ日本の劇場に降りてくるのでござるな。おわり

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期待の若手黒人俳優ケルヴィン・ハリソン・Jrくん

ちなみに拙者はAL B.SURE!カバー版の「Hotel California」のが好きでござる。

 

【おまけ】

このMVにトレイシーさんが出てる時点で高等なギャグだったことに今さら気づいたでござるよ。


EARFQUAKE

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日本で云えば「徹子の部屋」における黒柳徹子さん的な知名度

 



 

浅草六区で女剣劇全盛時代を築いた浅香光代さん死去

なんてこったい、訃報続きでござる。今度は浅香光代さん すい臓がんで死去 92歳」の報。浅草六区の芸能文化史を語るうえで重要な人物の御一人だっただけに残念無念。浅香師匠は戦後間もなくして舞台劇団浅香光代一座」の座長としてチラリズム女剣劇(※当時十代)で人気を博し、現在の浅草ROX本館辺りに1983年まであった浅草松竹演芸場で主に舞台活動を行い、1950年代に女剣劇四巨星の一人として女剣劇全盛時代を築いた。1979年には裏浅草に「演劇舞踊浅香流」事務所兼稽古場を構え、現在は剣劇俳優のお弟子さんが二代目家元として浅香流を襲名して「新星浅香流」を結成し、日本の殺陣・舞踊芸術を後世に伝えるため演劇舞踊教室を開かれているのでござる。また、浅香師匠は小林旭さんとともに俳優養成所「日本時代劇研究所」の名誉顧問でもあった。ご冥福をお祈りします。

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『フライデー』ディーボ役でおなじみの黒人俳優タイニー・リスター・Jr.死去

またしても訃報でござる。日本のニュースでやらないからアメリカ現地時間で12月11日の報だったらしいのだが、黒人俳優のタイニー・リスター・Jr.(Tommy "Tiny" Lister Jr.)さんが12月10日に亡くなられたらしい。リスターさんは今年の初めに新型コロナに掛かったものの克服し、そしてこの12月にも呼吸困難など再び新型コロナに似た症状が出て衰弱のため仕事(映画の撮影)をキャンセルし、12月9日の時点で連絡が取れず翌10日にカリフルニア州警察が調査したところ自宅で亡くなられていたらしい。さらに2型糖尿病も患ってらっしゃったそうで、詳しい死因は現在調査中とのこと。

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大人のジャイアン「ディーボ」役

我々ブラックムービー(黒人映画)ファンにとってリスターさんといえば、アイスキューブ(ICE CUBE)主演のコメディ映画『フライデー』(1995年)でのイジメっ子「ディーボ」がハマり役だったというイメージが強い。ネットでザッと情報を拾ったところ、一般的な日本人の映画ファンにとってはダークナイト』(2008年)の囚人役『フィフスエレメント』(1997年)のリンドバーグ大統領役、それにアニメ映画『ズートピア』(2016年)のフィニック役の声優で名が知られていたらしい。拙者がリスターさんを初めて意識した映画は『黒豹のバラード(原題:POSSE)』(1993年)のオボボ役『スーパーヒーロー メテオマン(原題:The Meteor Man)』(1993年/ビデオスルー)でのゴールデンロウズの怪力男役が印象的だった。『黒豹のバラード』のオボボは作中で主要メンバーの一人ながら気弱な大男で、『メテオマン』の怪力男は悪のギャング団の暴力担当という二極なキャラクターの演じ分けが印象に残り俳優さんとしての名前を意識し、それ以前にもビバリーヒルズコップ2』(1987年)『トレスパス』(1992年)などでも見たことある俳優さんだったが、そのころはまだあまり意識してなかった。

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左端のオボボ役がリスターさん

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一番背の高い怪力男”ディジット”役がリスターさん

拙者は90年代にブラックムービーにハマり、ここ数年は仕事が多忙気味で趣味の時間を控えていたけど、このコロナ過で時間に余裕ができ、この機会にDVDなどでブラックムービーを70年代辺りから順番に観直してブログかHPに記録していこうと思ったものの、現在は劇場公開作品が洋画不足なのもあって何故か日本の時代劇にハマるという体たらく。それはさておき、リスターさんのハマり役ディーボが出る『フライデー』と続編『NEXT FRIDAY』(2000年/日本未公開)についての詳細はそのうち作品自体をブログで紹介することにして、そもそも『フライデー』シリーズという映画は、とある黒人青年の何気なくもおかしな一日を描いた黒人ならではの日常コメディ。いわゆるディーボは大人のジャイアン的なイジメっこポジションで、暴力を振るって近所の奴らから金品を奪う嫌われ者ながら、作品シリーズ的にはアイコン的な愛されキャラ。みんなに憎まれる厄介者だから主人公に倒されるのでカリスマ的なボスキャラとも。日本では、第一作目の『フライデー』が劇場公開され公開後にVHS/LDも発売したものの近年は日本版DVD/BDは出ておらず、以降の第二作目『NEXT FRIDAY』と第三作目『FRIDAY AFTER NEXT』(2002年)に至っては劇場公開もビデオスルーもされていないので、日本のヒップホップ/ブラックムービーファンにとってはカルトムービー扱いとなっているのが残念でござる。

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『NEXT FRIDAY』で出所脱獄するディーボと新しい舎弟

 また、リスターさんは1989年から1996年までの間、「ゼウス」というリングネームでWWF/WCW所属のプロレスラーとしても活躍していた。大学時代は砲丸投げの全米チャンピオンになったほどで卒業後はNFLニューオリンズブレイカーズ(80年代当時)にテスト入団するも夢破れ俳優の道を選んだらしい。そして、1989年に公開されたハルク・ホーガン主演のプロレス映画『ゴールデンボンバー』出演を機にWWF入りしたらしいでござる。

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リングネーム「ZEUS」としてWWF/WCWでも活躍

いわゆる大柄な怪力男役が多かったリスターさんは多くの映画やテレビに出演する黒人俳優の名バイプレイヤー。個人的にマイケル・クラーク・ダンカン(2012死去)さんと混同した時期もあったけど、また拙者の好きな俳優さんが亡くなられて残念無念。本国サイトで出演作品リストを観るとに日本未公開作品が多いこと多いこと。とりあえず今日は以前LDからダビングした日本語字幕版『フライデー』を観て故人を偲ぶことにするでござるよ。R.I.P. Tommy 'Tiny' Lister Jr.

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「You Can Do It」PVに出演するなどICE CUBEとも仲良し


Ice Cube - You Can Do It (Official Video)

 

楽器漫才の巨星逝く、横山アキラ師匠

今年はコロナの合併症で著名な方も亡くなられ、拙者の好きなご年配の芸能人の誰かが今年で亡くなられやしないかビクビクしていたものの、そんなに訃報がなくて油断していたら小松政夫さんの訃報があって拙者大ショック。ついさっき電線音頭を聞きながら小松政夫さんのブログ記事をアップして、ネットのニュース一覧でエンタメをソートしたら横山ホットブラザーズのリーダー、横山アキラさん死去 88歳」の訃報。切ない週末を迎える。

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在りし日の横山ホットブラザーズ

拙者は楽器漫才が好きで、故トニー谷師匠や故牧伸二師匠なんかが今でも大好きだったりするが、つい先日も台東区中央図書館で新作DVD「台東芸能文庫其の十九 ギター漫談 ペペ桜井」が目に入り、ペペ桜井さんのことは存じないもののギター漫談家ということで気になって借りて観た。DVD映像中のネタ話でペペ桜井さんは「ギター漫談家は私と堺すすむさんの二人しかおらず、つい最近もギター侍なんていましたが数年前に消えた」とおっしゃっていて、そんなに少なかったっけ!? と思い、拙者の知ってる限りでは、まず月亭可朝師匠は2018年に他界、地獄のスナフキン金谷ヒデユキさんは声優に転向寒空はだかさんはエアギター漫談金剛地武志さんはエアギター芸人ダイノジ大地洋輔さんもエアギター芸人南州太郎師匠は懐メロギター漫談なのでギリギリセーフ、吉本新喜劇松浦真也さんはギター芸人ではあるもののギター漫談ではない。ネットで調べたら吉本所属のラニーノーズという若手コンビがギター漫才らしいけど、たしかにギター漫談メインの芸人さんは少ない感じ。楽器漫談にはウクレレ漫談とかピアニカ漫談とかもあるけど。

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御免なさい、ペペ桜井さんは存じませんでした

話は横山ホットブラザーズに戻って、10年ぐらい前までは関東圏のお笑い演芸テレビ番組でも横山ホットブラザーズの姿を見かけたものだが、地元の大阪で主に活動されていることもあり、ここ10年は関東ローカルでは目っきり見かけなくなった。やっぱりお兄さんの横山アキラ師匠の「お~ま~え~は、あ~ほ~か~」ネタが大好きで、HDDレコーダーの録画ワードに横山ホットブラザーズ」と登録したり、おそらく唯一のDVDソフト「平成版 昭和のお笑い名人芸⑨横山ホットブラザーズを買って何度も観たりもした。アキラ師匠、普段はギターだけど、鉄板ネタ「お~ま~え~は、あ~ほ~か~」の際にはミュージックソーという音楽用の大のこぎりを歪ませたり叩いたりして音を出すという希少な漫才スタイルで、弟子とか横山家の跡継ぎは居ないものかと心配していたが、とうとうお終いのようだ。願わくば一度、生で横山ホットブラザーズの公演を観てみたかった。拙者は「♪とかくこの世は朗らかに、笑う門には福来たる、歌う門にも又福来たる、歌って笑ってホットブラザーズ」のフレーズを聞いただけで元気を貰えたものでござった。

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横山ホットブラザーズDVD

我々の世代はやはりテレビのお笑い番組などで満足しちゃって、浅草の演芸場で二~三千円払ってまで生の公演で観たい芸人さんって拙者はなかなか巡り合えてないけど、テレビで観てグッときた芸人さんは生でも観てみたい。落語なんかはテレビでよくやっているほうで、そもそも「浅草お茶の間寄席」というテレビ番組では浅草演芸ホールで公演された落語の興行を毎週放映しているぐらい。しかも何故か千葉テレビの制作で。

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ちばテレの「浅草お茶の間寄席」

どうやら拙者、お笑いは上方方面のが好みらしく、特に横山ホットブラザーズ吉本新喜劇が好きで東京公演があったら観に行きたい。実際、新喜劇は毎年東京公演があるものの、これまでも仕事の都合などでなかなか観に行けてなかった。横山ホットブラザーズはともかく、吉本新喜劇ではやはり松浦真也さんのギター演奏芸が特に好きで、単独公演があれば是非観たい。ギター漫談ではないもののギターの演奏テクニックと演奏ジャンルの幅広さはこれまでにない凄腕。ここ最近のお気に入り芸人さんの一人だ。

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松浦真也&すち子

横山アキラさん亡きあと横山ホットブラザーズの活動はどうなるのかも心配だけど、これを機に横山ホットブラザーズの活動を記録したDVDなどももっとリリースして欲しい。横山ホットブラザーズの偉業は大阪市無形文化財に指定されているものの、上方のお笑い文化を後世に伝えるためにも何かしら形に遺していって欲しいと思う浅草民であった。ちなみに芸能文化に力を入れている我が台東区では、先のペペ桜井さんのDVDのように「台東芸能文庫」シリーズとして区が制作したオリジナルDVDソフトを区内の図書館などで貸し出している。図書館利用の区民は観られるとして、それ以外の人はどうすれば観られるのだろう? 逆に、上方方面でそういった地域住民限定のコンテンツがあったらどうしよう。実は横山ホットブラザーズも地元限定コンテンツがあるのかもしれない。それを考えてると一晩中寝られないの(三球・照代の地下鉄漫才かよ)。おわり

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大阪市無形文化財

 

小松の親分さん、ありがとう

「センキュー、センキュー、本日はにぎにぎしくご来場、誠にありがとう御座居ます。大変、長らくお待たせをいたしました。あたくし、四畳半のザット・エンターテインメント、小松与太八左衛門でございましゅ~、センキュー、センキュー」…これは、1970年代に一大人気となったデンセンマン由来のコミックソングデンセンマンの電線音頭(LPバージョン)」の冒頭で小松政夫さんが扮する司会の小松与太八左衛門による名文句だ。

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デンセンマンありがとう デラックスエディション」として近年CD化されている

デンセンマン自体は1976年放送のバラエティ番組『みごろ!たべごろ!笑いごろ!』内のコーナーから生まれた人気キャラクターで、漫画家の石ノ森章太郎先生によるキャラクターデザインと変身ヒーロー風のスーツアクターによる滑稽な歌と踊り伊東四朗さんと小松政夫さんら「電線軍団」によるハイテンションな盛り上げ演出などによって当時は日本中のチビッコに絶大な人気を博した。コミックソング「電線音頭」は元々、わらべ歌「あんたがたどこさ」を元に落語家の桂三枝(現・桂文枝)師匠が考案した替え歌ネタで『みごろ!たべごろ!笑いごろ!』の前番組『ドカンと一発60分!』内で歌われ、桂三枝の電線音頭」としてレコード化もしたが、歌詞が下ネタ寄りで少々大人向けなこともあってかイマイチ人気が振るわなかったようで、今となってはヒット曲「デンセンマンの電線音頭」の元ネタとして当時を知る50代以上の世代とコミックソングマニアには有名なのではないか。

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桂三枝の電線音頭

『ドカンと一発60分!』の頃から伊東四朗さんと小松政夫さんも番組に出演し、シングルレコード桂三枝の電線音頭」のジャケット写真にもお二人の姿が出ており、楽曲内でも「本日はにぎにぎしくご来場、誠にありがとう御座居ます。わちき、四畳半のザット・エンターテインメント、総合司会の小松政夫でございましゅ~」と、LPバージョンのデンセンマンの電線音頭」のように冒頭で小松さんによる司会セリフが入るのだが、この時点ではデンセンマンも電線軍団もまだ無いので「総合司会の小松政夫として出ている。

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ベンジャミン伊藤と小松与太八左衛門

1976年に発売されたシングルレコード版の「デンセンマンの電線音頭」では、小松さんによる司会セリフはなく、冒頭セリフと歌詞の1番を伊東四朗さん扮するキャラクター「ベンジャミン伊東」が歌い、2番を小松政夫さん扮する小松与太八左衛門が歌って、3番ではデンセンマン(声・俳優/声優の堀勝之祐さん)が登場して歌い、4番からスクールメイツのチビッコたちがメインで歌い、5番の歌詞で「一番好きなのはデンセンマン!」と歌って閉めるという歌詞共々チビッコ向けな構成となっている。デンセンマン人気で1977年にはデンセンマンありがとう」というLPレコードアルバムも発売され、LPバージョンの「デンセンマンの電線音頭」「電線音頭 ~全国縦断編~」「デンセンロックなどデンセンマンや番組に関連した楽曲が収録。小松さんはこのLPレコード内でも進行役の司会や楽しいお喋りのほか、何曲か歌を歌ったりもしている。また、『みごろ!たべごろ!笑いごろ!』番組内のコント劇コーナー「悪ガキ一家と鬼かあちゃんで小松さんは政太郎という生真面目少年役を演じ、伊東さん演じる母ちゃんに怒られたり、キャンディーズの3人が演じるラン助、スー吉、ミキ子らにいじめられたりもするが政太郎は会話がシラケると突然「♪し~らけど~り~、と~んでゆ~く~、南のそ~ら~へ~、ミジメ、ミジメ~」と歌いだし、その歌が番組内で人気が出て「しらけ鳥音頭」としてシングルレコード化されたり、のちに怪鳥しらけ鳥という着ぐるみキャラクターが大々的に登場するまでに発展した。この「♪し~らけど~り~、と~んでゆ~く~、南のそ~ら~へ~、ミジメ、ミジメ~」という冒頭フレーズは、80年代ゲームセンターで一世を風靡したビル登りビデオゲームクレイジー・クライマーのゲーム画面中でプレイヤーを邪魔するコンドルが登場する際にゲーム音のジングルとして流れ、当時「しらけ鳥音頭」はそれほど知名度があったことが伺える。

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小松政夫版しらけ鳥音頭

当時(1970年代後半)チビッコだった現50代以上の世代にとって小松政夫さんと云えば『みごろ!たべごろ!笑いごろ!』に出てきた政太郎(悪ガキ一家と鬼かあちゃん)や小松与太八左衛門(電線軍団)のイメージが強いのである。キャンディーズが出ていたことも人気の要因の一つであるが『みごろ!たべごろ!笑いごろ!』はDVD-BOXされている。

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みごろ!たべごろ!笑いごろ! DVD-BOX

2003年には、『みごろ!たべごろ!笑いごろ!』を元にしたみごろ!たべごろ!ナントカカントカという謎のバラエティ番組日曜日の早朝4時半~という異常な時間帯に放映されていた。拙者は当時、若者だった故に土曜の夜は御前様でそのまま日曜の朝に寝るダメな生活を送っていたので偶然にも初めて観たナントカカントカのインパクトは強烈で、初期のころは番組の冒頭と最後に、呉服姿のご老人に扮した小松政夫さんが屋外ロケで小ネタコントをしていた番組自体の進行は金剛地武志さんが行い、基本的に「ウゴウゴルーガ」のようなシュールなギャグを交えたチビッコ向けの知育番組のようだったが、『みごろ!たべごろ!笑いごろ!』から「悪ガキ一家と鬼かあちゃんデンセンマンの電線音頭」のコーナーを当時の映像のまま挿入したり、チビッコが麿赤児さんに質問するコーナーがあったり、スナックを舞台に小松さんや金剛地さん、安部譲二さんなどが登場するコント劇「スナック野バラ」のコーナーがあったりして、変な物好きな拙者にとっては日曜の早朝からご褒美であった。つい先日、昔のVHSビデオテープをダビング整理したらみごろ!たべごろ!ナントカカントカ』3回分ほど発掘したので懐かしんで観ていたところだった。

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みごろ!たべごろ!ナントカカントカ

今日、出掛けにスマホの通知画面を見たらニュース速報で「俳優の小松政夫さん死去 78歳」とあって、ショックだった。ショックだったけど、真っ先に頭の中をよぎったのはデンセンマンで司会をする小松さんの姿だった。もちろん小松さんの偉業はこれだけじゃないけど、拙者の心の中にも小松与太八左衛門政太郎小松の親分さんなど小松さんのギャグはずっと生き続けるのであった小松政夫さん、ありがとう。ご冥福をお祈りいたします。

 

ありがとさん、ありがとさん、

貴方のおかげで人生が、酷く楽しくなりました。

(有賀十三「デンセンマンありがとう」より)

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淀川長治さんのモノマネでも有名

 

 

 

【おまけ】

佐竹商店街の公式チャンネルに「あなたの町で電線音頭」ロケの貴重な映像がアップされていたでござる。


昭和52年(1977)佐竹商店街で電線音頭

デンセンマン何処や?と思ったら商店街アーチの上で踊るデンセンマンがアツイ! 

ていうか、佐竹商店街の公式チャンネルなんてあったんや…。(ご近所感)

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日本で2番目に古い商店街にデンセンマン降臨